新型コロナウイルスに対応した各社事例とすぐに使えるWeb接客例
新型コロナウイルスの感染拡大により、働き方や消費行動にも大きな変化が見られます。新たなライフスタイルに対応した、オンラインを活用するWeb接客の事例を取りまとめました。全25ページのPDF資料を、無料でダウンロードしていただけます。
みなさま明けましておめでとうございます、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2021年は新型コロナウイルス流行の中で始まりましたが、後半に入ってワクチンも普及し、だいぶ落ち着きを見せてきました。このまま行ってくれれば……と思っていたこの年始は、オミクロン株の影響かまたしても陽性者数増加の兆しがあり、気になるスタートになってしまいました。
とはいえ消費者の側は、外出できないなりに楽しみ方を見つけ出しています。昨年「TikTok売れ」という言葉が聞かれるようになりましたが、この言葉に象徴されるように、ものを買うという行為、あるいは買ったものを消費するという行為の意味が変化してきているように感じます。
例えば「マリトッツォ」という商品。もとはイタリアのスイーツですが、なぜかさまざまなものが挟まれた「○○トッツォ」がSNS上で共有されました。ある種の「祭り」に参加するような感覚が、ものを買う・消費するという行為に色濃く付加されるようになってきています。
そもそも「消費する」という言葉自体が、この状況をうまく言い表せていないかもしれません。「マリトッツォを味わう」こと以上に、SNS上でみんなと楽しむことのほうがひょっとすると購買の動機としては強いかもしれないのです。
そこには「新たな○○トッツォを作り上げる」という楽しみ方もあることがわかります。もちろん仲間内で遊んでいるだけの場合もありますが、なかにはプロのお菓子屋さんやお寿司屋さんが参加してより本格的なアレンジをしてみたり、オリジナリティーを出してみたりといった「○○トッツォ」も登場しました。
このように、「○○トッツォで遊ぶという現象が、マリトッツォが売れるという状況を作り出す」というものの売れ方は、オフラインで接点を持ちづらいコロナ禍であったからこそ促進された部分があったのではないかと思います。これまでは仲間内・友人同士の流行りで終わっていたようなことでも、オンライン上で行われることで、より規模が大きくなります。消費者側も一度こういう「遊び」に参加する面白さを味わうと、次もまたやってみたくなるのではないでしょうか。
消費あるいは購買の意味が変わってくると、消費者はもはや消費者ではなくなります。とはいえSNS上で投稿しているからといってインフルエンサーというのも違うでしょう。語感としては「プレイヤー」が近い感じはしますが、ゲームを強く連想させるのはミスリーディングでしょうか。いったんこの記事では「ユーザー」という言葉を使おうと思います。
これまでは「マーケティングコミュニケーション」という言葉が象徴するように、マーケティングとコミュニケーションは一体的なものとして扱うことが通例でしたが、このようなものの買い方が広まっていくのであれば、コミュニケーションはマーケティングの主要素から外れていくのかもしれません。
このような「遊び」ができ、多くのユーザーを巻き込めるような「場」を意図的に設計・運用することが、マーケターの役割として求められるようになる。そんな変化がこれから起きてくるのではないかと考えています。昨年「メタバース」という言葉が飛び交い始めましたが、それに倣うなら「マーケティングコミュニケーションからマーケティングバースへの変化」とでもいえましょう。
ここで「バース」という言葉を使ったのは、象徴としての「ユーザーが遊ぶ場」というニュアンスです。メタバースというと、どうしても仮想の3次元空間が想像されますが、マーケティングバースが仮想の3次元空間で展開されるはずだという見解ではまったくありませんので念のため。
やや話はそれますが、個人的にメタバースの「バース性」が面白いのは3次元空間だからというよりも「ユーザーにとって自由度の高い場が用意されていて、そこで何をするかはユーザーに任されている」という点にあると思っています。
バース提供者が用意するのはユーザーがさまざまに遊ぶことができる仕掛けや仕組みであって、特定のストーリーに沿わせたり、一方通行的に育成したりするようなものではありません。もちろん遊びの一要素としてストーリーや育成があってもいいのですが、それは主ではなく、やるかやらないかはユーザーに任されていて、やらなくても特に不都合はありません。
これをマーケティングバースになぞらえるなら、遊びの場が魅力的であればユーザーを呼び込めます。場の中に必要なのは、ユーザーが外のユーザーに対して発信できる仕掛けです。そして場が創造性を発揮できるようになっていれば、ユーザーの中には多くの人の目を引くようなアウトプットを作り出す人も出てきます。マーケターはそういう場になるように常に改善・運用を続けていくわけです。
ものを買ってもらうことは、この場に参加するためのチケットである。あるいは場の中で目立つため、あるいはリスペクトされるためのアイテムである。場の設計によっては、ユーザーがチケットやアイテム(に相当するもの)を入手できるのは、ものを買うという行為以外にもあり得るのです。
実はこうした「場に参加する」という考え方自体は、特に目新しいものではありません。例えば10年以上前に、AKB48の総選挙のシステムがCDの購買を促進したことも構造としては同じです。あるいはハーレーダビッドソンがユーザーコミュニティーの形成に力を入れたり、参加型イベントを開催したりしていることにも同様の構造が見られます。
ただ当時はSNSの力もそこまで大きくはなく、こうした手法自体も強いファンがつくようなブランド力の強い種類の商材に限られていました。当時と現在で異なるのは、「○○トッツォ」のように、最初は強い愛着やブランド性がそこまでなくてもユーザーが遊びだすことがあり、その遊びの拡散性が非常に強くなっているという点です。
昨年は「日清食品のカップラーメンの裏蓋にチベットスナギツネがいる!」という話題が拡散したこともありました。マーケターが意図して仕掛けた「遊び」として、よくできた事例だと思います。
さらに言えば、こうしたマーケティングバースの設計が、企業として立脚するパーパス(存在意義)にしっかり根付いたものになっているのかということまでユーザーから見られるようになるでしょう。遊びだからとある種の嘘くささや格好つけがあったり、ユーザーが「遊ばされている」感が出ていたりすると、それは興ざめを生んでしまいます。
このあたりのバランスを見定めながら、場を運用し続けるという発想が大事になっていくように思います。
まとめると、マーケティングという活動が「コミュニケーションを設計すること」から「遊び場を設計・運用すること」に変わっていく。そんな1年になっていくのではないでしょうか。
Sprocketとしても、こうした未来をイメージしながら日々プロダクトとサービスを発展させていきたいと考えています。
みなさま今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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