オウンドメディアとは?オウンドメディアを持つメリット・デメリット、運用する上で注意したいポイントを解説

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Sprocket編集部

オウンドメディアとは?オウンドメディアを持つメリット・デメリット、運用する上で注意したいポイントを解説

オウンドメディアとは、企業が自社で保有するメディアのこと。コンテンツマーケティングとの違いや、ときには広告以上の効果をもたらすオウンドメディアのメリットと成功事例、デメリットや構築・運用で注意したいポイントを詳しく紹介します。

オウンドメディアとは?

オウンドメディアとは、自社で所有する(=Owned)メディアのことです。企業が保有・運営するWebサイトやブログ、SNSアカウントなどを指し、広い意味では企業が発行するパンフレットなどオフラインの媒体も含みます。

オウンドメディアは、ユーザー目線で有益な情報を発信し、ユーザーとの接点となる役割で広く活用されるようになってきました。コラムや動画など、各企業によって特色あるコンテンツが展開されています。

「顧客を動かす」訴求メッセージ

オウンドメディアが注目される理由

近年、オウンドメディアはますます重要性を増しています。株式会社宣伝会議が実施した『オウンドメディア運用に関する調査』によると、8割超の企業がオウンドメディアに「とても注力している」「注力している」と回答しました。企業がオウンドメディアに力を入れる背景には、以下のような目的があると考えられます。

潜在顧客に接触し、商品・サービスを認知してもらう

オウンドメディアを運用する目的のひとつに、商品・サービスを知ってもらうための入り口という役割があります。Webの商品・サービスページや広告などで企業が伝えたい情報にいくら力を入れても、潜在顧客がアクセスしてくれなくては認知されません。

オウンドメディアは読者にとって有益な情報を発信し、自然検索によるアクセスを図ります。自社の商品・サービスに関連するテーマに関心をもったユーザーが訪れるため、潜在顧客への接触の機会となるのです。

企業や商品・サービスのファンになってもらう

オウンドメディアは、Webの商品・サービスページには載せきれない、企業の姿勢やブランドに込めた思い、商品・サービスのこだわりなどを多様な表現で伝えることができます。

また、ユーザーの興味関心に合う情報を充実させることで、企業への信頼感を得られるでしょう。自社や商品・サービスに対する好感度や愛着を醸成し、潜在顧客から見込み顧客へ、そして優良顧客へと育てていくことを狙います。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違い

オウンドメディアと混同されがちな用語にコンテンツマーケティングがあります。見込み顧客に有益な情報を共有して購買意欲や信頼感を高め、ファン化を目指すという目的は共通していますが、両者は階層が異なる概念です。

オウンドメディアは自社で運営する「媒体」そのものを指し、Webサイトやブログ、発行物などが代表的なものです。一方、コンテンツマーケティングとは、主に見込み顧客の育成に使われるマーケティングの「戦略」を言います。Webサイトだけでなく、ホワイトペーパーや事例集、メルマガなどさまざまな手段を組み合わせて実施します。

整理すると、コンテンツマーケティングという戦略を実行する上で、施策のひとつとしてオウンドメディアという媒体が活用できるということです。

オウンドメディア・ペイドメディア・アーンドメディアの違い

企業が情報発信に利用するチャネルは、トリプルメディアと呼ばれる以下の3つに分類できます。

従来は、企業が行う情報発信は広告、つまりペイドメディアにおける宣伝が中心でした。インターネットの発達とともにチャネルが多様化した現在は、複数のメディアを組み合わせて情報発信することが一般的です。トリプルメディアのそれぞれの特徴を表にまとめました。

オウンドメディアペイドメディアアーンドメディア
特徴

・自社が所有・運用するメディア
・コンテンツの発信者の役割
・ユーザー視点で役立つ情報を発信し、見込み顧客・既存顧客との関係を築く

・広告費を払って利用する他社メディア
・コンテンツの仲介者の役割
・潜在顧客に広くアプローチする

・第三者が情報発信するメディア
・情報に応答・伝播する役割
・消費者によって自然拡散される

チャネル

・Webサイト
・ブログ
・SNSアカウント
・カタログ・パンフレット

・Web広告
・スポンサー
・テレビ/ラジオCM
・チラシ
・新聞/雑誌広告

・クチコミ
・SNS
・キュレーションサイト
・テレビ番組

メリット

・自社の思うように運用・管理でき、汎用性が高い
・長期継続して利用できる
・長期に効果が見込める資産になる

・即効性がある
・自社の意思通りに管理できる
・読者ニーズがある

・信憑性・透明性が高い
・自社Webサイトに訪れない層にもリーチできる

デメリット

・軌道に乗るまで時間がかかる
・成果が上がる保証がない

・読者の信用性が低い
・費用がかかる
・コミュニケーションが一方通行になりがち

・自社でコントロールできず、効果測定も難しい
・ネガティブな反応のリスクがある

このように、トリプルメディアはそれぞれ異なる特徴をもちます。オウンドメディアは計画的な運用が必要ですが情報のコントロール性が高く、長期的には費用対効果の高い資産となり得ます。

ペイドメディアはコストがかかりますが、マス向けあるいはターゲットを絞って即効性のあるアプローチができます。

アーンドメディアは自社でコントロールできないリスクがあるものの、よい評判が広がれば大きな集客効果が期待できます。各メディアの強みを生かして使い分け、相互補完的に連携して展開することで、最大限に効果を発揮できるでしょう。

オウンドメディア

企業がオウンドメディアを持つ5つのメリット

オウンドメディアを自社で運用するメリットについて、代表的な事例とともに見てみましょう。

メリット1:ブランディングに効果的

オウンドメディアはブランド構築に効果を発揮します。自社運営ならではの専門性の高いコンテンツを継続して発信することで、頼れる情報源として認知され、ユーザーの信頼感を得ることができます。

ブランディングの成功事例:ニチイの介護サイト

介護をはじめとする総合生活支援事業を営むニチイ学館は、オウンドメディア『ニチイの介護サイト』を運営しています。介護に関する基礎知識や介護サービスの紹介などのコンテンツがあり、具体的な事例紹介でユーザーが自分の状況に近いケースを参考にできるなど、工夫されています。

また、介護の仕事に興味がある求職者向けに、セミナーや就職相談会、求人エントリーなどのコンテンツも充実しています。介護サービス利用者と介護の仕事に関わる人に、同時にブランディングができている事例と言えるでしょう。

メリット2:広告宣伝費を節約できる

従来、企業からの情報発信は広告宣伝が主でした。しかし情報があふれかえる現在、広告に対するユーザーの反応は目に見えて薄くなっています。つまり、広告宣伝費に対する費用対効果が低下しているのです。

その点、自社で保有・運営するオウンドメディアであれば、広告宣伝費がかからない自然検索による流入を狙えます。質の高いコンテンツを蓄積していけば、検索エンジンやSNSを通じて過去の記事にも継続的にアクセスを呼び込めるでしょう。

広告宣伝費節約の成功事例:ボーグル(BOWGL)

『ボーグル(BOWGL)』は、企業や官公庁の福利厚生業務を扱う株式会社ベネフィット・ワンが運営するオウンドメディアです。企業の人事担当者をターゲットに福利厚生業務に関するさまざまな情報を提供し、見込み顧客数の向上を達成しました。

必要な情報を探しやすい明確なカテゴリー分類や、ユーザー目線を徹底した高品質のコンテンツによって、信頼を勝ち得たと言えるでしょう。広告宣伝費に頼らず集客を実現した事例です。

メリット3:SNSによる情報拡散が期待できる

オウンドメディアで発信されたコンテンツは、TwitterなどのSNSでシェアされやすいという強みがあります。過去の記事であっても、ユーザーの支持を得た内容はしばしば自発的に紹介され、拡散されていきます。

質の高いコンテンツを継続して発信することで、長期的に見込み顧客を呼び込む資産を作ることができるのです。

SNSによる情報拡散の成功事例:となりのカインズさん

ホームセンター大手のカインズのオウンドメディア『となりのカインズさん』は、ファンの多いメディアです。「ホームセンターを遊び倒す」というコンセプトのもと、数々のお役立ち情報や遊び心のあるコンテンツが人気を博しています。

SNSで「バズる」こともたびたびで、オウンドメディアからアーンドメディアへとつながり、認知拡大・集客に成功していることがわかります。

メリット4:採用ブランディングに活用できる

オウンドメディアは、消費者向けだけでなく採用ブランディングにも活用できます。自社の理念や文化を発信するだけでなく、実際の業務の様子や社内の雰囲気をあらかじめ求職者に伝えることができるため、採用後のミスマッチを防ぐことにも役立ちます。

採用ブランディングの成功事例:メルカン

フリマアプリで知られる株式会社メルカリは、採用オウンドメディア『メルカン』を運用しています。コンテンツのメインは、社内のエンジニアやプログラマーが語る開発エピソードです。インタビューを中心とした飾り気のない表現で、業務内容だけでなく企業文化や職場の雰囲気も率直に伝わります。

社員の生の声を届けることで、課題だった転職希望者とのミスマッチを防ぎ、自社に合う優秀な人材を獲得する環境作りに役立っています。英語版のページを作成することで、国籍を問わず優秀な人材にアプローチできる点も特徴です。

メリット5:社員と会社のエンゲージメントを高められる

従業員エンゲージメントの観点からオウンドメディアを活用している企業もあります。社内報を外部にも公開する「オープン社内報」は、自社の魅力や動向を透明性を持って発信できます。

従業員同士のコミュニケーションや連帯感に寄与するだけでなく、会社とのエンゲージメント向上も期待できるでしょう。さらに、従業員の家族にも自社への理解を深めてもらえるメリットがあります。企業ブランディングや採用広報を目的に、オープン社内報を活用する企業は少なくありません。

エンゲージメント向上の成功事例:SmartHRオープン社内報

オープン社内報の先駆けとも言えるのが、人事労務サービスを扱う株式会社SmartHRです。同社はnoteでオープン社内報を運用しています。SmartHRオープン社内報の最大の特徴は、担当部署だけが記事を作成するスタイルではなく、社員の個人アカウントからも投稿が可能という点です。さまざまな部署の社員が幅広い切り口で記事を投稿しており、他の社員の投稿に触発されたアンサー記事やノウハウ共有など、社内の活性化に役立っていることがわかります。

オウンドメディア運用で注意したい3つのデメリット

オウンドメディアを運用する上では、注意すべき点もあります。考えられるデメリットを3点にまとめました。

デメリット1:効果が出るまでに時間がかかる

オウンドメディアは自然検索による流入を目指す取り組みであるため、即効性はあまり期待できません。SEOで検索エンジンの評価を上げ、また読者の信頼を得るには、良質なコンテンツを継続的に発信し蓄積する必要があるからです。

短期的な効果を狙う広告とは異なり、軌道に乗るまでは最短でも半年〜1年程度の時間を要することを想定して、地道に取り組むことが求められます。時間がかかることで、目標やコンテンツの軸がぶれてしまう、あるいは成果が出るのを待てずに撤退してしまうといったリスクも考えられます。

デメリット2:メディア構築に初期費用がかかる

オウンドメディアの開設には、ドメイン取得やサーバー利用料といったWebサイト構築の初期費用が必要です。また、プランニングやデザイン、コンテンツ制作などを外部に依頼する場合は、そのぶんの費用も発生します。広告費を抑えられるメリットの一方、こうした費用がかかることを計画に入れておきましょう。

デメリット3:運用管理に一定のコストがかかる

オウンドメディアの効果を発揮するには、ユーザーのニーズに応えるコンテンツを数多く発信し続ける必要があり、運用管理に少なからずコストを要します。

コンテンツの企画・制作、分析には、専門知識と人的リソースが必要です。もし内製化を目指す場合は、SEOやWebサイト運用、マーケティングなど、幅広い知識・スキルが社内になくてはなりません。

失敗しないオウンドメディアの構築・運用ポイント

オウンドメディアの構築・運用にあたって、前章で述べたような失敗を避けるにはどうすればよいでしょうか。3つのポイントにわけて解説します。

ポイント1:ユーザージャーニーを意識したコンテンツ作り

ユーザーの心を捉え、オウンドメディアに再訪してもらうには、ユーザー視点のコンテンツ作りが欠かせません。ユーザーが困っていることや知りたいことを把握し、ニーズに合う情報を提供する必要があります。

そのためには、顧客とブランドや商品との関係性を時系列に沿って捉える「カスタマージャーニー」を意識することが有効です。

ポイント2:SEOと読者の導線を設計する

自然検索による流入を狙うには、適切な検索ワードや、内容の信頼性・充実度など、SEOがしっかり施されたコンテンツを作る必要があります。また、ユーザーに役立つであろう関連情報へのリンクや、コンバージョンへの誘導といった、Webサイト内の導線も重要です。

やみくもに情報を増やせばよいというものではなく、コンテンツ設計をしっかり行った上でオウンドメディアを構築しましょう。

ポイント3:社内を巻き込んでメディアを運用する

オウンドメディアの運用には、社内を巻き込んだ体制作りが求められます。オウンドメディアは少なからずコストがかかる一方、すぐに目に見える成果が出るものではないため、全社的な理解が欠かせません

社員への取材や担当部署への情報提供依頼など、具体的に協力を求める場面も考えられます。社内の協力を得るには、外部に発信することで得られる効果や、社外からの反響など、オウンドメディアのメリットを具体的に共有することが有効でしょう。

協力を依頼するときは、繁忙時期を避ける、回答しやすいようにヒアリングを工夫するなど、社員の負担ができるだけ少ないやり方をとることも大事です。

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