LTVが135%に伸長!「正しい顧客理解」をもとにチュチュアンナが取り組んだLTVを向上する3つのアプローチとは

ECサイトアパレル

株式会社チュチュアンナ 様

株式会社チュチュアンナは、創業から51年の歴史を持つインナーウェアブランドです。同社は2023年にミッションを刷新し、より多くの顧客に向けてサービスを拡大しています。そこで重要となるのが「LTV」と「顧客理解」です。同社の西岡和也氏と内見裕美子氏にお話を伺いました。

イメージ:LTVが135%に伸長!「正しい顧客理解」をもとにチュチュアンナが取り組んだLTVを向上する3つのアプローチとは

顧客層を女性から「世界中の人々」へと拡大

――まずは御社についてと、ミッションの刷新について教えてください。

西岡氏:弊社は創業51年のブランドです。これまでは女性向けのインナーウェアを中心としていましたが、昨年「世界中の人々に、喜びと感動を、インナースタイルを通して、創造していく」とミッションを刷新しました。

「世界中の人々」にはメンズもキッズも含まれます。また「インナースタイル」には従来のインナーや靴下などに加えて、フットクリームやバストクリームなど、肌に触れるものすべてを含めています。それを実現するための店作りやお客様とのコミュニケーションなど、今まさに大きく変化しているところです。

株式会社チュチュアンナ デジタルマーケティング部 シニアマネージャー 西岡和也氏

――「世界中の人々」は、顧客層が大きく広がりましたね。

西岡氏:はい。弊社は、店舗、卸、ECなど、比較的多くのチャネルで展開しており、中国でもビジネスを展開しています。刷新されたミッションの通り、より多くのお客様に向き合っていくことになります。

顧客理解を深めてLTVを高めるためのツール選び

――現在取り組まれているマーケティング上での課題を教えてください。

西岡氏:新しいミッションにおいては「生涯にわたって弊社のブランドを選択してもらうこと」が理想です。単純に売り上げを上げたいというよりも、ブランドのファンになっていただき、必要なときに想起してもらえることが大切だと考えています。そのために「正しい顧客理解」をもとにしたLTVを向上する施策に取り組んでいます。

――「正しい顧客理解」とはどういうことですか?

西岡氏:顧客層が広がったこともあり「いかに顧客志向で考えられるか」はあらためて重要なテーマで、社内では「思い込みをやめよう」と言っています。お客様がどんな方で、どんな悩みやインサイトがあるのか。それはこちらの「こうだろう」という思い込みではなく、お客様に直接聞くなど、知るための努力をしていく必要があります。

チュチュアンナの取り組みの全体像

――その中で、オンラインのツールも見直しをされたそうですね。その点についてお聞きできますか。

内見氏:顧客理解を深めるには、店舗ならお客様を直接見るか、お話を聞くのが一番です。オンラインではそれが難しく、これまで利用していた接客ツールでは顧客理解には不十分だったという課題がありました。そんな中でSprocketのセミナーを聞いて「これだ」と思い、すぐに持ち帰って西岡に導入したいと申し出ました。

株式会社チュチュアンナ デジタルマーケティング部 内見裕美子氏

西岡氏:私自身、深田さんとは前職で面識がありましたので、Sprocketの利点は理解していました。担当者が「やりたい」と言ったものを使うのが一番成果につながると考えていますので、特に反対はありませんでした。導入後は、ご支援をいただきながら、高速でPDCAを回しています。

――「顧客理解には不十分」とは、具体的にはどのあたりだったのでしょう。

内見氏:これまで利用していたツールは、セグメントもざっくりしたものしか設定できず、単なるバナーを表示するような印象であまり柔軟性がありませんでした。お客様とのコミュニケーションというイメージではなく「接客って販促バナーのことだっけ?」と考えていたところでSprocketの存在を知りました。

西岡氏:必要な場所に、必要なタイミングでご案内すれば、お客様に見ていただける。それは先に挙げた課題解決にも必要なことですし、Sprocketを導入した大きな理由のひとつでもあります。

LTVを向上するための3つのアプローチ

――LTV改善の取り組みを進められていますが、感触はいかがですか。

西岡氏:この1年では、顧客理解の取り組みから、ロイヤルティやLTVを向上するための施策がいくつも生まれています。それを、どのお客様にどのタイミングでご案内するのかということもSprocketで整備し、おかげさまで新規も既存も数字は伸びています。この3年で見ると、LTVは135%伸長しています。

――ありがとうございます。LTV向上の取り組みについて深掘りさせてください。

西岡氏:大きくは「顧客種別の引き上げ」「アプリユーザーの売上最大化」「顧客視点でのサービスの体験向上」が挙げられます。

① 顧客種別の引き上げ

――「顧客ランク」は、ゴールド会員やダイヤモンド会員といったランクのことですね。「顧客種別」についても教えてください。

西岡氏:はい。弊社では店舗の会員とアプリの会員、そして両者のIDを統合した統合会員があるのですが、これまではすべての「会員」を1つの大きなくくりで捉えていたんです。それを「正しい顧客理解」のために、会員ランクと顧客種別の二軸で9種に分けて、顧客戦略の全体像を作りました。今年はお客様へのインタビューなども積極的に行っていて、実際にお話を聞くと、あらためてわかることが多いなと実感しています。

会員ランクと顧客種別の二軸で整理した図

――あらためてわかることとは、具体的にはどのようなことですか?

西岡氏:会員の方を9種に分けることで、新規獲得のところにまだまだ伸びしろがあるということに気付けました。また、統合会員のLTVが高いというデータから、当初は初回購入時に統合会員になってもらうためのご案内をしていましたが、顧客調査を進めると、それはハードルが高いこともわかりました。

それで、それぞれのチャネルでロイヤルティが高まった、アプリのみ、通販のみのダイヤモンド会員のお客様に統合会員のご案内をするという方針に切り替えました。

――なるほど。それでどのような施策を行われたのでしょう。

松尾(Sprocketコンサルタント):通販のみ会員やアプリ会員から統合会員へと進んでいただきたいのですが、お客様にとっては複雑で、うまくお伝えすることができていませんでした。そこで、お客様が通販のみ会員なのか、アプリのみ会員なのか、状況に合わせてSprocketのシナリオで自動出し分けを行いました。

マイページはすでにいずれかの会員になっていただいているお客様ですので、新規のお客様よりモチベーションも高いと考えられます。そのお客様に対して、統合会員のご案内とメリットの訴求を行いました。

ユーザーの状況に応じて訴求メッセージを自動出し分け

内見氏:これまでも統合会員に進むためのリンクは設置していましたが、あまりきちんと計測はできていませんでした。実は店舗もアプリも両方アカウントを持っているが、統合の手続きをしていない「隠れ統合会員」の状態のお客様も少なからずいらっしゃったのではないかと思います。

Sprocket コンサルタント 松尾聡子

② アプリユーザーの売上最大化

――2つ目の「アプリユーザーの売上最大化」についても教えてください。

西岡氏:弊社のお客様の中でも特にロイヤルティが高いのは、アプリをご利用いただいている方です。初めてのお客様に弊社のことを知っていただくことも大切ですが、一度にすべての施策を行えるわけではありません。選択と集中という意味でも、ロイヤルティの高いお客様の行動を分析することで、体験やLTV向上につながるヒントがつかめるのではないかと考えました。

――具体的にはどのような分析を行ったのですか。

松尾:アプリユーザーの方とそれ以外の方を比較した数値などはチュチュアンナ様に出していただいていましたので、Sprocketではまずアプリ内のユーザーの行動を分析しました。

アプリ内の行動経路を分析すると、購入完了までに「お気に入り」一覧ページを多くのお客様が経由しており、CVRもかなり高いことがわかりました。そこで、お気に入り機能のCXをより向上させて伸ばしていくための施策を考えました。

実際に私も利用してみたところ、お気に入りに登録した商品が品切れや終売になると「NO IMAGE」と表示され、最初から探し直しとなってしまいます。「ここで購入モチベーションが下がってしまうお客様もいるのではないか」と仮説を立てて、Sprocketのシナリオで代わりの商品への導線を作ったところ、お気に入り一覧ページからの購入完了率が11%向上しました。

アプリユーザーを分析してお気に入り一覧ページの体験を改善

③ 顧客視点でのサービスの体験向上

――3つ目の「顧客視点でのサービスの体験向上」とは?

西岡氏:例えばお客様にアンケート調査を実施したところ、オンラインで購入しない理由のトップ2は「送料の不安」と「サイズの不安」でした。そこで開始したのが「店舗受け取り」と「返品送料無料」のサービスです。

――先ほどおっしゃっていた「正しい顧客理解から施策を考える」ということですね。

西岡氏:はい。しかし「店舗受け取り」や「返品送料無料」などのサービスが存在していても、必要なときに知ってもらえないと意味がありません。サービスを始めた当初は、利用いただいているお客様のLTVには寄与していましたが、まだまだサービス自体の認知度が低いという課題がありました。私は「コンテンツと接客はセット」だと考えていて、そこをSprocketのシナリオで助けていただいています。

内見氏:あくまでオプションサービスですので、ページの一番上に持ってくるようなものではないんですね。それであまり認知されていなくて。

松尾:ページの構成は変えず、Sprocketでお客様にとって必要なタイミングを見分けたうえでサービスをお伝えする施策を実施したことで、購入完了率は17%向上しています。

対象商品かどうかをシナリオが判別して最適なタイミングでサービスを訴求

内見氏:「ちゃんと知っていただければ、購入していただける」ということをあらためて感じました。両サービスともお客様の評判が良く、ロイヤルティ向上にも良い影響を与えていると思います。

Sprocketだからこそわかる顧客心理のデータを活用していきたい

――LTV向上は多くの企業にとって共通の課題ですね。Sprocketは御社のマーケティングにとってどういう役割ですか。

西岡氏:顧客理解の部分でも、われわれが行っているインタビューやアンケート調査だけでは把握しきれないことがあります。特にWebサイト内のことは、Sprocketだからこそわかる、持っている情報もあるはずです。そうしたことを今後も提供していただきたいと考えています。

――ありがとうございます。これから期待することはありますか?

西岡氏:定量データはこの1年でだいぶ取れるようになってきていますが、定性データをうまくかけ合わせるところまではできていないのが現状です。そうした情報の連携のような部分で、弊社のデータとSprocketのデータをかけ合わせて仮説を作っていけるようになると私自身もワクワクしますし、一緒に取り組んでいきたいと考えている点です。

――Sprocketも顧客心理の解明をテーマとしています。ご協力できることは多そうです。

高速でPDCAサイクルを回してCX改善やUI/UX改善につなげられる

内見氏:ツールとしては、個々の施策のA/Bテスト結果がひと目でわかるのがとてもいいなと思っています。A/Bテスト自体ができるツールはほかにもありますが、結局良いのか悪いのかの判断がすぐに下せないものもあり、その点Sprocketは結果がはっきりと出るので私たちでもPDCAサイクルを回しやすいです。

西岡氏:PDCAサイクルという意味では、去年の夏ごろからECチーム内でUI/UXの改善チームができていて、サイトやアプリの使い勝手を上げる取り組みが始まっています。しかし、時間とコストをかけてサイトを改修しても、それで結果が良くなるかはわかりません。そこでSprocketを使って仮説を検証すると、UI/UX改善のスピードが圧倒的に速くなるので、そうした本実装前のテストという面でも助かっています。

――最後に、Sprocketの導入を検討している方へ向けてひとことお願いできますか。

内見氏:Sprocketで細かくA/Bテストをしながら取り組みを続けると、良いシナリオがちゃんと残っていきます。仮に施策の成果が思わしくなくても、それで終わらせずに勝ちにつなげるためのアイデアを粘り強く出していただけるのもとても良いと思っています。

西岡も「思い込みをやめよう」と言っていますが、一方的な思い込みではなく、実際のデータから仮説を立てて、A/Bテストで良いのか悪いのかの判断ができるという仕組みがとても良いです。ただの接客ツールという枠を超えて、CX改善という視点でも役立っていると実感しています。

西岡氏:われわれが目指しているミッションの実現に向けて、Sprocketはこれからも伴走していただけるパートナーになっていただきたいです。

――本日はありがとうございました。

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